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2018.03.27

台湾・香港出張その④

CategoryLAYMEE

台湾を訪れたのは5年前だったという話をしたが、前回香港を訪れたのはブランドをはじめて間もない頃、

 

13年ほど前、20代も終盤の頃だったと思う。

 

 

 

世界中から集まる素材の中からお宝を探し当てる、というのがその出張のミッションだった。

 

 

 

日の暮れるまで香港の生地屋街シャンスイポーを歩きまわり、夜は連日クラブへと繰り出した。

 

 

 

香港の発展は目を見張るものがあるが、当時の香港は今にも増さる勢いがあった。

 

 

 

夜の舞台は、今は無きサイバー、大箱だ。

 

 

 

平日にもかかわらず出来る長蛇の列を横目に、僕たちは日本人というだけで顔パスで店内へと通された。

 

 

 

ただの、普通の人なのに、襟で顔をかくし大物ぶって見せたのはこの時がはじめてだった。

 

 

 

うろ覚えだが、円形の室内は中央にダンスフロアがあり、それを取り囲む様何部屋ものカラオケルームが併設されていた。

 

 

 

いやらしい作りだ。

 

 

 

人、人、人、でごった返したフロアは異様な雰囲気で、熱狂的なムードに後押しされ、僕もお立ち台へとのぼり、踊り狂った。

 

 

 

本来であれば、クラブでバカ騒ぎするよりも赤ちょうちん的な居酒屋でしっぽり飲むのを好む僕だが、この時ばかりは抑制を止めることが出来なかった。

 

 

 

熱狂的なムードに気持ちが支配され、体中にアドレナリンが溢れ出ているのを感じた。

 

 

 

熱狂的なムードに気持ちが支配された、と。

 

 

 

汗だくになり踊り疲れた僕は、酔い覚ましも兼ねてトイレへと向かった。

 

 

 

そこで僕は驚くべき光景を目の当たりすることになる。

 

 

 

閃光が発せられたフロアから、突如薄暗いところへ移動し、目が慣れていない為か。

 

 

 

 

いや違う、間違いない。

 

 

 

1人の少女が、手のひらのアルミホイルにのせた白い粉を鼻から吸い込んでいる。

 

 

 

ドラッグだ。

 

 

 

奥へ進むと、ビニール袋を吸う少年。

 

 

 

マリファナでキマッタ青年。

 

 

 

薬物中毒者の温床だった。

 

 

 

はじめて現場を目の当たりにした時は足がひるんだが、取り立ててこちらに絡んでくることはない。

 

 

 

僕は異文化を肌で感じ、また熱狂の空間へ身を溶かしていった。

 

 

 

仕事と遊び、メリハリの効いた3泊4日はあっという間に過ぎた。

 

 

 

帰りは行きよりも1時間短い4時間のフライトだ。

 

 

 

夕刻、成田に着いた僕たちは18時の渋谷での予定に間に合わせるべく空港内を急いだ。

 

 

 

 

グルグルと回るベルトコンベアーには一向に自分の荷物が落ちてくる気配はない。

 

 

 

遠くからゆっくりと近づいてくる愛くるしい表情のラブラドールレトリバーを目で追い、時間を潰した。

 

 

 

1分、3分、5分、時間は過ぎていく。

 

 

 

10分も経った頃だろうかブラックのRIMOWAのスーツケースが落ちてきた。

 

 

 

無造作に張られたステッカーが僕の持ち物であることの目印だ。

 

 

 

残すは最後の税関。というところで先程のラブラドールレトリバーが僕の足元にいる。

 

 

 

近くで見ても愛くるしい。

 

 

 

その愛くるしい生き物が僕の足に顔を何度も擦り付けてくる。

 

 

 

愛くるしさもひとしおだ。

 

 

 

「君たちこっち来て」

 

 

 

無機質な言葉が僕達を掴まえる。

 

 

 

 

「急いでるんですけど」

 

 

 

 

「こっち来て」

 

 

 

 

はじめて通された部屋は、季節の変わり目に民放テレビ局で特集を組まれる麻薬密売人がいる場所だった。

 

 

 

 

案の定、隣では3つの長テーブルにルイヴィトンのコピー商品が所狭しと並べられ、外国人がすごい剣幕でどなられている。

 

 

 

 

「おまえら、出せ」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

「自分から出さないんなら、調べるぞ」

 

 

 

 

なかば決めつけていた、僕たちが麻薬密売人である、と。

 

 

 

 

 

衣服はパンツ以外全部脱がされ、パンツの中も探られた。

 

 

 

 

まだ僕は何のことか分からなかった。

 

 

 

 

RIMOWAのスーツケースに詰められた衣服のポケット、ムースの蓋の裏、想像しうるところは全て調べられた。

 

 

 

 

なかば僕たちを、麻薬密売人と決めつけていた警察官も、一向にブツが出てこないことに面を食らっている。

 

 

 

冷静さを取り戻した僕は、霧が晴れるように状況が見えてきた。

 

 

 

三日三晩通ったクラブのトイレで、間違いなく白い粉をかぶっている。

 

 

 

愛くるしいラブラドールレトリバーが足に顔を擦り付けるのが麻薬を所持している可能性を表すサイン。

 

 

 

抑制をとめられず踊り狂ったのは、「熱狂的なムードに気持ちが支配された」からではなく、おそらくあの白い粉が原因。

 

 

 

 

点と点が繋がる。

 

 

 

 

この3日間であったことを全て説明し、警察官は納得しながら最後に言葉を言い放った。

 

 

 

 

「このルイヴィトンのコピー商品は没収ね。」

 

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

 

今回乗った機材は、モニターに今地球のこんなところを飛んでいますというマップが出た。

 

 

お分かりだろうか?

夜の始まりを僕たちは飛んでいた。

 

 

 

その光景を機内からおさえた。

綺麗だった。

 

 

刻一刻と光が闇に飲み込まれていく。

 

 

 

全てを闇で覆いつくされた時、台湾・香港の出張が終わった。

 

 

 

おわり

 

 

現地でお世話になった方々ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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