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2018.08.06

夢の先に【第十六話~第十七話】

Categoryglamb Tokyo Blog

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■第十六話
 
 
「話には聞いとったけど、こんなに毎日同じメンバーで飲んでるとは思わへんかった。」
 
 
 
文字にすると少し嫌味っぽく映ってしまいそうだが、その口調から単なる感想ということが伺い知れた。
 
 
 
僕とゲンちゃんと馬場ちゃんを軸に、来る日も来る日も、入れ替わり立ち替わりのメンバーで飲んでいた。
 
 
 
そんな折、妻の口から出た言葉だ。
 
 
 
独身貴族を謳歌していた生活習慣を改めるのは容易ではなかった。
 
 
 
が、女性1人と猫1匹が加わった生活は、それまでの金銭感覚を改めなければ破綻が目に見えていた。
 
 
 
毎週木曜のバンドミーティングは継続するも、それ以外の飲みは緩やかに数を減らした。
 
 
 
ほんの少しだけお金の力を頼りにしたバンドデビューの力業にも無理が生じはじめる。
 
 
 
時を同じくして、ターゲットとした2丁目のみんなは一流ばかりで、この上なく目も肥えている事が分かりつつあった。
 
 
 
お願いすれば友達を誘ってライブには来てくれる筈だが、僕達の演奏など見せられたものではない。
 
 
 
何せたったの一度も練習をしたことがないのだから。
 
 
 
急速にバンドデビューまでの道は閉ざされていった。
 
(つづく)
 
 
■第十七話
 
 
買い手はすぐに見付かった。
 
 
 
しかも全てが買った時よりも高い値段で。
 
 
 
この時ばかりは、自分には審美眼があるのではないかと少し調子づいた。
 
 
 
スタンドに立てかけられた3本のギターは何気に場所を取り、その代わりに置かれたキャットタワーがバンド活動に終止符をうった。
 
 
 
それまでとは違った時間が流れる。
 
 
 
結婚とはそういうものだ。
 
 
 
ただ、頻度が減ったものの仲間内の交流だけは絶やさず、人の輪だけは強固な形で残った。
 
 
 
僕は、バンドデビューの先に、ステージ上でオーディエンスを湧かしたいと思った、が、それ以上に、ひと仕事終えた後のメンバーや対バンメンバー達とのワチャワチャとした打ち上げを夢に見ていた。
 
 
 
浅はかな思い付きから始まったバンドデビューへの道、夢のその先にある本質は図らずも既に手に入れることが出来ていた。
 
 
 
いつだったかの誕生会で、ゲンちゃんが言っていた一言が耳から離れない。
 
 
 
「私の人生で、誕生日にこんなにノンケが集まることになるとは思いもよらなかったわよ。」
 
 
 
性別入り乱れたどんちゃん騒ぎが、そんな嬉しくも儚げな一言をなかったことかの様にかき消す。
 
 
 
だけどそんなことはもうどうだっていい。
 
 
 
僕はもう、夢の先にいるのだから。
 
(おしまい)
 
 
 
(第十四話の乾杯写真)
長いブログとなってしまいました。
7年間を凝縮しており、全て真実に基づいたものとなっております。
僕の思い出話にお付き合い頂きありがとうございました。
 
 
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