Autumn Collection 2019

Autumn Collection 2019 The Fuzzy Tramp

ギターサウンドの1つであるファズを冠したシーズンとなります。
ファズは1950年代に生まれながら、音色の独自性から時代遅れになることなく、
進化や革新を続けるロックミュージックの中でも無二の個性を響かせてきました。

「時を超えて愛される音楽、時の片隅に置かれたままの音楽。
一世を風靡した後も受け継がれるデザイン、旧時代の象徴となるデザイン。その間には一体何があるのだろう?」

その答えを追い求め、古今東西のファッションピースへglambは今一度アプローチを行いました。

Location:Venezia(Italy)

  • ModelDEAN
  • Shane Makoto
  • PhotograghTakakai Yuko
  • Hair&MakeHaga Hitomi
  • StylistKubo Takaaki
  • PlannerNoda Ryohei

Through the Lenses

Through the Lenses

【Venice Through the Lenses】

 「アドリア海の真珠」や「水の都」とも謳われるヴェネツィア。この街の歴史は、北イタリアの人々がゲルマン人からの侵略からアドリア海の湿地帯へと避難してきたことから始まる。今から1500年以上も前の話である。独自の政府を組織しヴェネツィア共和国が成立すると、10 世紀には海運業で莫大な富を築き、16 世紀には世界における造船・兵器製造の一大拠点として栄えた歴史を持つ。街は多数の小島から成り、約400 の橋で繋がっている。イタリア本土と陸路で結ばれるようになった今もなお、街中の交通手段は船に限られる。バスも船、タクシーも船だ。ドロミテ地方の大自然の中での撮影を終えた僕達がヴェネツィアに到着したのは21 時前。暗闇の中、200kg を超える衣類や機材を車から船へと載せ替える。ロケバスならぬ、ロケ船の完成である。所狭しと洋服が並びスタッフが窮屈そうに乗り込むロケ船の様子は、この街を走る数多くの船の中でも異彩を放っていた。そして一日の大半を船で過ごすと、椅子に座って食事をしていても、ベッドに横になっても、船の上で揺れているような感覚に襲われるということが、今回の撮影でよく分かった。至るところに流れる運河、情緒溢れる細い路地。小道はすぐに建物に突き当たり、かぎ型に折れ曲がったかと思うと運河が遮り、太鼓橋を渡った時には元いた場所には戻れない。まるで迷路のようだが、どこを切り取ってもロマンチックなこの街は、度々映画や小説の舞台にもなり、世界中の誰もが憧れる観光地の一つである。度々目にするボーダー柄がトレードマークのゴンドリエーレは、ただの舟漕ぎではないのをご存じだろうか。専門学校で技術を身に付けた上で、ヴェネツィアの地理や歴史などの試験を突破しなければならず、3 カ国以上の言語を話せることも必須条件だ。街全体で人数が決まっている為、誰かが引退しない限り新たなゴンドリエーレは生まれない。
 ヴェネツィアンエリートである彼らが漕ぐゴンドラに乗り込みゆっくりと運河を進んでいくと、ふと橋の上にいる老夫婦と目が合った。優しい笑顔で手を振る彼らに、こちらも笑顔で手を振り返した。夕陽の輝きを受けてほんのりピンクに染まった空とカナル・グランデ。ゆっくりと揺蕩うゴンドラと街のシルエットを眺めていると、ふと夢と現実との境界線が曖昧になっていく。

Photography = YUKO TAKAKAI , TK KUBO
Text = RYOHEI NODA

Through the Lenses
Through the Lenses
Through the Lenses
Through the Lenses

 僕の知る限りでは、イタリア人は働き者だし協力的だ。特大ステーキと大盛りのパスタを喰らい、昼からワインをガブガブ飲むマフィアのような風貌のこの男も。彼はヴェネツィア生まれヴェネツィア育ち、生粋のヴェネツィアンである。早朝から日が暮れるまでロケ船の操縦を担ってくれたロベルトに、心から感謝したい。

Through the Lenses
Through the Lenses

 朝食はカフェでサンドイッチとカプチーノ、そしてオレンジジュースを頼むのが僕達の定番だ。イタリアで飲むオレンジジュースは生絞りで驚くほど美味しい。小腹が空いたらヴェネツィア名物バーカロへ。立ち飲み居酒屋のようなスタイルのお店で、ワイングラス片手におつまみを楽しむヴェネツィア市民憩いの場である。中でも人気店の''Cantinone già Schiavi'' は、店主のおばあさん手作りの芸術的なブルスケッタが名物。小皿料理と地ワインを安価で楽しめるバーカロ巡りは、ヴェネツィアに来たなら欠かせない。

Through the Lenses

 「水の都」は一方で、「沈みゆく町」とも言われている。雨が降りやすい秋から冬にかけて、季節風と満潮とが重なることでアクアアルタと呼ばれる高潮が発生する。我々が天気予報をチェックするのと同じように、ヴェネツィアの人々は高潮予報をチェックするのである。彼らにとってこのアクアアルタは日常の光景の一つであり、長靴を履いていつも通りの一日を過ごすという。浸水しながら営業する店も多いというから驚きだ。抜本的な対策は講じられておらず、この街は水害との共存を余儀なくされている。

Through the Lenses
Through the Lenses
See More

Brand Category